炒飯は美味い
数年前、別れさせ屋の新人女性スタッフのYさんと現場帰りに一緒に食事をした

すると、男の人は何で浮気するんですかね!!と唐突に質問された

彼女に顔を向けることなく、何でって、、、と少し言葉に詰まる私

質問の意図はなんだろう?

何があったのだろうか?

そんなことを考えながらも私は食事を楽しむことを優先してた

ん~何でだろうね、、、と軽く返して、私はチラッと彼女の顔を横目に見た

箸が止まって目に涙を浮かべてた

えー何何何!?

何があった!?

どうした!?

(全て心の中の声)

カウンターの向こうの店主と目があった

彼女と私を交互に見たあとの冷たい目

店主、私を責めてるのか!?

若い娘さんを泣かせてる悪い男とでも思っているのか!?

俺じゃない!

違う!!

一体何が、、、、!?

違うんだ店主、勘違いしないでくれ!と目で訴えようとしたが目を逸らされた

ここの炒飯が気にいって3年くらい通ってたお店

無表情な店主だが、最近は私が店を入ると笑顔をくれるのが阿吽の呼吸となっていたお店

いらっしゃい♪→注文→ご馳走様♪

店主と私、互いにこの最低限のコミュニケーションで築いていたある種の信頼関係の間に、この事態を説明しうる術など存在しない

少しの沈黙ののち彼女は涙を拭って何事も無かったかのように食事を再開した

私の頭の中は、色んな思考が行ったり来たり

だが、、、それでもここの炒飯は美味い

私は黙っていつもの1.5倍くらいよく噛んで食べた

よ~く味わうことでその場から現実逃避するのがその目的

、、、食事を終えて私たちは店を出た

駅に向かい歩きながら彼女に訊いた、どうした?

ふむふむ

へ~

ふ~ん、そうだったんだ

どうやら元彼と何度か行ったことのあるお店だった模様

ノー天気に炒飯を食らう私の横顔に、元彼の面影があったらしく、悲しい記憶が蘇ったとか

そういえば、元彼とはその彼の浮気が原因で別れ、その悲しさから逃れるように彼女は別れさせ屋のスタッフになった、、、という話は聞いていたな

彼女とはあのお店は利用しないようにしよう、と私はそう決めて駅で別れた

それから彼女は1年くらいエース級の活躍をしたのちに別れさせ屋を辞めたのでした

で、先週そんな思い出のあるお店に行ったのです

最低限のコミュニケーションはそのままに、店主の笑顔も戻っています

カウンターに座り注文を終え、ふっと奥の席を目を向けると、そこにはYさんがいた

おっ男性と一緒だ

笑顔で楽しそうに食事をしている

んん、ひょっとして、、、と思い、男性が食べてるものを確認した、炒飯だ!

子供みたいに口いっぱいに頬張って食べてるよ!

きっと元彼とヨリが戻ったんだ!

彼女との思い出が思いだされたが、この店で涙を浮かべた彼女はもういない

その幸せそうな姿がとても眩しく映り嬉しくなった

ほどなくして私の目の前にも熱々の炒飯が運ばれてきたのでいつものように頬ばった

美味い♪

ここの炒飯はやっぱり美味い♪

だけど今日はいつもよりも美味い♪

お幸せに~&もう浮気しちゃダメよ彼♪と陰ながら声援を送りながら好物をほおばった別れさせ屋なのでした

、、、、、と、そんな出来事が先日あったのです

人生色々、終わりよければ全てよしってところでしょうかね

笑顔は伝染しますね

目指せハッピーエンド♪


梟 拝
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