10数年前の依頼者さんの名前がそこにあった
事故で亡くなったと書かれてた
記憶が蘇った
これでもかと重なる不幸と不運の経緯を笑みを交え淡々と語ってくれたのが彼女との出会いだった
彼女の笑顔はとてもチャーミングで透明だった
だけどそれを打ち消す影が時折見えたのはたび重なる苦労がそうさせたのだと一瞥できるものだった
彼女はそこから抜け出したかったんだ
そして抜け出さすべく手を差し伸べてくれた男性がいた
だけどたび重なる男運の悪さから慎重になった彼女は私に男性の調査を依頼した
結果は、、、、、アウト
男は彼女に見せていないとても大きくて黒い別の顔を持っていた
調査が終わっても2~3ヵ月くらい彼女は時々私のところを訪ねて来てくれた
お茶をしながらのたわいのない世間話
ある時、何でこんな奴ばかりあなたに寄ってくるの!?と私は少し彼女を責めるかのように質問をした
それは率直な感情だった
彼女はその質問に何も言わず少し困った顔をして微笑んでいた
月日は流れ、、、その彼女が亡くなった
たった5行の小さな記事だった
何度も何度も読み返してみたがその事実は変わらなかった
月日の流れの中を感情が行ったり来たりした
あれからの10年は幸せだったと信じたい
また切にそう願う
素敵な笑顔はもういない
。。。。。私は彼女の笑顔に恋してたのかもしれないな
合掌
梟 拝