以前の依頼者から携帯に電話が入る

相談に乗ってあげて欲しい人がいる、とのこと

出張先だったので暫く先になる旨を伝えると携帯番号を教えていいか?と問われたので、ちょっと躊躇したが信頼できる人からの紹介なのでまあ問題ないかと判断しOKとした

・・・・・今思うとこれが始まりだった

その日の夜、電話が入る、紹介された者ですが。。。と女性であった

車で移動中であったがハンズフリーで対応し話を伺った

不倫相手が浮気をしたらしい(相談者は愛人の立場)

浮気相手のことが知りたいから力を貸してくれとのこと

私:相手を知ってどうするの?あなたが奥さんの立場ならまだしも愛人同士で戦うの?何を争うの?

相談者:知りたいんです

私:知ってどうするの?

相談者:その女が誘ったのか、彼が誘ったのかをハッキリしたいのです

私:それで彼は何と言ってるの?

相談者:誘われた。。。と

私:じゃあそれでいいじゃん、ところでその二人はまだ続いてるの?

相談者:終わってます、だけどそこをハッキリしたいんです

私:終わってるならもういいじゃあいいじゃん、ハッキリって何よ?

相談者:浮気なのか本気なのかです

私:う~ん、言いたいことはちょっと分かるけど、遊びは遊びでしょ、言っては悪いけど多分あなたとも遊び

相談者:・・・・・・・・・・・・

私:本気で嫁よりあなたを選んだなら更に他で浮気はしない、そんな遊び方はしない、それが筋、その男性がいい加減で無責任だということ、それが答えじゃないかい?

相談者:それ本当ですか?やっぱりそうですか?

私:違うかい?

相談者:それが本当なら殺す!うぅ・・・・・(泣き声)

私:えっ!?っていうか自分で判断できないの?つうか殺すって何?

相談者:絶対許さない絶対に許さない男は皆そう皆同じ、うーあー(泣きながら何を言ってるか不明)※■△○※※■●▼□□・・・・・・・・数分続く

私:冷静になろうよ。。。

相談者:(泣きながら)力貸してください

私:犯罪に巻き込まれるのは嫌だ

相談者:大丈夫です

私:信用できない

相談者:大丈夫、お願いします

私:何をして欲しいの?

相談者:女の家を突き止めてください

私:はぁ?何のために?

相談者:確認します、本気か遊びかを!

私:会話成り立っていないんですけど大丈夫?

相談者:大丈夫です、だけどこんなこと考えてたらいつも寝れないんです

私:大丈夫では無いよ寝れないと思考もまとまんない、つうかじゃあ男が本気だったとわかったらどうすんの?

相談者:許しません

私:だからどうするの?

相談者:何するか自分でも分からない~~~!(泣き叫ぶ)

私:ゴメン、私では力になれません

相談者:(泣き叫ぶように)いくら払えば手伝ってもらえるんですか!

私:いやいやお金の問題ではないから、ゴメンね

相談者:・・・・・・・・・

私:申し訳ないけど目的地に着いたので切りますね、冷静にね一度冷静になろう、犯罪は絶対にダメだからね

相談者:・・・・・・・・・

私:じゃ失礼します、もう一度言うけど冷静に考えようね、では(プチッ)

きっと病んじゃってるんだよね

信じてたんだろうね、自分に注がれた愛情だけが本物だって、だから愛人で我慢できてたんだろうね

そう考えるととても可哀想であった

でも犯罪の加担はしない、そんなリスクは負えない、他の依頼者に迷惑が掛かるからね

そう考えつつ、心の中で丁重に断った、ゴメンネ、そして復活を祈った

が、しかし、翌日また電話が掛かってきた、しかも夜中

男と連絡が取れなくなったらしい

きっとその女のところに行ってるんだとすごい剣幕で依頼を懇願されるようだった

途中から全く何を言ってるのか分からない

寝れない日が続くとこうなるのか?発狂ってこんなのだろうか?と思った

落ち着いてきた頃合いに丁重に断った、冷静になることも何度も何度も勧めた

そして私は寝ることができた

翌日、紹介者に連絡をした

彼女を心療系の病院に連れて行ってあげて欲しいと伝えた

紹介者はそんなこととは知らなかったと驚いた

そして何度も何度も私に謝罪した

これで終わった。。。。

と思ったらまたその日の夜に彼女から電話があった

紹介者が自分のことをアタマがおかしいと言っているがそんなことはない、と彼女は私に訴えるのだ

何度も何度も何度も何度も同じことを繰り返していた、そして私のアタマは変じゃないと言っていた

話を一通り聞いて落ち着いてきたころ電話を切った

不倫のこと、相手の男のこと、過去の恋愛、子供のこと、将来のこと沢山聞いた

次の日もまた次の日も同じように電話は鳴った、そして出た、同じ話の繰り返しである

最初は呆れていたが、途中から悲しくなった、只悲しかった

一生懸命な彼女が意地らしくさえ思えた

一生懸命生きようとしてることが伝わってきた

だけど私は只うんうんと聞くしか出来なかった、ちょっと目尻がぬれた

そして頃合いを計って通話を終えた、日課のように

切ってすぐに今度は紹介者から電話が入った

彼女の両親と連絡が取れて明日一緒に病院に連れていけるとの報告だった

その後、彼女からの電話は無くなった

会ったことはないけれど安らかな寝顔を想い浮かべる

幸せに向かう道へ歩み出したと信じたい


梟 拝

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